大事なこと「部品表」

MRPなどのシステムが正しく動作するためには「曖昧さ」や「揺らぎ」を排除しなくてはいけません。

人だと「曖昧さ」や「揺らぎ」があっても上手くいくかもですが、コンピュータはそうはいきません。

ルールをしっかり決める必要があります。

部品表と部品情報

部品表の話をする前に

  • 部品表
  • 部品情報

についてです。

よくあるのですが部品表に沢山の情報を記載している場合があります。

たとえば

  • 種類
  • 特性
  • パッケージサイズ
  • 購入先や価格MOQ  などなど

ただ、上記のような情報は部品表に直接入力するべきではありません。

でも、部品表に入っていたら便利なはずなのです。

では、どういうことかというと、

  • 部品の細かい情報は別途データベースにして
  • 部品表に最低限必要な項目のみ入力

というように「部品表」と「部品情報」を分けてしまうのです。

そして

  • 必要に応じて「部品表」に「部品情報」のデータベースをインポートする

ということを行います。

こうすることで、部品表は最低限必要な項目のみ入力でよくなるので楽です。

また、データベースを更新すれば全ての部品表に自動的に適用されることになり

ちゃんと管理ができるようになります。

 

 

部品表の種類

部品表の種類を定義します。

最低限、以下の2つとなります。

  • EBOM (Engineering Bill Of Material)
    • 設計者が作成する部品表
    • システムに登録ができる部品表
  • MBOM (Manufacturing Bill Of Material)
    • 生産、購買、製造で使用する部品表
    • システムに登録済みの部品表

 

EBOM (Engineering Bill Of Material)

EBOMはエンジニアが作成する部品表のため、ファイル形式にることが多いです。

ファイルはExcelでもテキストでもOKです。

ただ、ルールは明確にし、必ず全エンジニアがそのルールを守るようにしなくてはなりません。

必要なルールは大きく2つで

  • ファイル名
  • 記述内容

です。

ファイル名に関しては、たとえば

  • 仕掛品型番  = ABC00001A
  • 名称 = SUB_PCB_ASSY

だとして

  • ABC00001A_SUB_PCB_ASSY_20230410
  • 仕掛品型番_名称_日付

という感じでも良いかと思います。

記述内容に関しては、

列インデックスの基本は以下の3つの項目、

  • REF = ロケーション番号(配置場所の番号)
  • QNTY = 数量
  • PN = オリジナル型番または仕掛品型番

行インデックスは

  • 不要

あと、列インデックスの基本の3つの項目以外に

列を追加し、情報を増やし記載しても良いが、

システムでは無視される前提で扱うようにします。

 

EBOMの例です。

REF QNTY PN
A1 1 ABC00001A
A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

MBOM(Manufacturing Bill Of Material)

MBOMはシステムに登録済みの部品表であって、

ソースはデータベースであって何かのファイルの形式で実在するようなものでは無いのですが、

実際の現場や業務では、

システムからMBOMをエキスポートし、なにかしらのファイルして作業することになります。

エキスポートするときに、価格情報だったり、在庫数だったり、未入荷数だったりを

付加したりします。

 

 

部品表の分割、部品表の単位

製品をたった1つの部品表で作成しようとすると、

とても大きな部品表となってしまいます。

よって部品表を分割することになるのですが、

分割にもルールがあります。

分割は

  • 仕掛品が部品表の単位

となります。

仕掛品がどのようなポイントで分割されるかというと

  • 工場や作業者が変わるポイント
  • 在庫にするポイント

となります。

 

具体的は

  • 加工業者A から加工業者Bに渡すポイント
  • 作り溜めした加工品を倉庫に保管

となります。

 

バージョン管理

なぜバージョン管理が必要かというと

  • 組合せによる相性(動作するしない、組立できるできないなどの相性)
  • トレース(どの部材や工程で製造したかの記録)

などを管理するためになります。

たとえば「仕掛品 ABC20000A」の部品表に以下の記載があったとして

REF QNTY PN
A1 1 ABC00001A
A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

「ABC00001A」がABC00001BにバージョンがAからBになったとして、

「仕掛品 ABC20000A」も「仕掛品 ABC20000B」に変更となり

部品表は以下の記載となります。

REF QNTY PN
A1 1

ABC00001B

A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

さらに「仕掛品 ABC20000A」を実装する次工程の「仕掛品 ABC24600A」があったとして、

「仕掛品 ABC20000A」が「仕掛品 ABC20000B」に変更となったら

「仕掛品 ABC24600A」も仕掛品 ABC24600B」に変更になります。

このように出荷品まで連鎖してバージョンを上げていくようにします。

 

このようにすることで組合せによる相性やトレースの管理が出来るようになります。

 

ここでもし、

  • 「ABC00001A」がABC00001B」になったが影響がない。どちらを実装してもOK
  • よって連鎖してバージョンを上げるのは面倒

となった場合には

「仕掛品 ABC20000A」はBとはせずにそのままAとしてABC00001AB」と記載します。

REF QNTY PN
A1 1 ABC00001AB
A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

さらに

  • 「ABC00001A」とABC00001B」どちらを実装してもOK
  • しかし「ABC00001C」は問題がある

「仕掛品 ABC20000A」はBとはせずにそのままAとしてABC00001AB_C」と記載します。

REF QNTY PN
A1 1 ABC00001AB_C
A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

あともしも

  • 「ABC00001A」とABC00001B」どちらを実装してもOK
  • というか「ABC00001」のバージョンは全く影響しない。どのバージョンでもOK

ならば

「仕掛品 ABC20000A」はBとはせずにそのままAとしてABC00001」と記載します。

REF QNTY PN
A1 1 ABC00001
A2 1 ABC00002A
A3 1 ABC00003A

セカンドソース管理

よくあることで購入品のコンデンサや抵抗などにて

互換性があってさらにコストや入手性の問題から

複数の購入先から仕入れることがあったりします。

 

このときも管理が必要となります。

 

まず、複数の互換品を同じ連番としてセカンドソースのみを変えて

オリジナル型番をとります。

  連番 代替品  
XYZ 00123 A GRM155R71C104KA88J
  00123 B EMK105B7104KV-F
  00123 C C1005X7R1C104K050BC

もし、セカンドソースの中で「XYZ00123A」と「XYZ00123C」のみ使える場合は

部品表に「XYZ00123AC」またはXYZ00123_Bと記載します

 

もし、全て使える場合はXYZ00123」と記載します。

 

考え方はバージョン管理と同じになります。

 

 

 

部品表のルールの前に

「型番へリンク」のルールが必要となります。ご参考にしてください。